キッチンカーは少ない資本で始められる魅力的な事業形態ですが、実際には廃業を検討するオーナーも少なくありません。売上不振や体力的な限界、将来性への不安など、その理由はさまざまです。本記事では、廃業を決断する前に確認すべき要素、必要な手続き、廃業にかかる費用や期間などを整理し、次の一手を考えるための判断材料をご紹介します。

なぜキッチンカーを廃業する人が増えているのか

キッチンカーは自由な営業スタイルが魅力ですが、事業としての継続性には一定のハードルがあります。ここでは、廃業を検討する人が直面する主な課題を取り上げます。

売上の伸び悩みと収益性の限界

キッチンカーは基本的に1台・1人での運営となるため、1日の売上には限界があります。原材料費や燃料費、人件費、イベント出店料などがかさむと、十分な利益が出せないケースもあります。売上が不安定なまま赤字が続くと、撤退を考えざるを得ない状況になります。

出店場所・集客の不安定さ

固定の店舗を持たないキッチンカーでは、日々の出店場所や天候に大きく売上が左右されます。継続して集客できる場所の確保が難しく、イベントや商業施設での営業依存度が高くなると、急な出店停止やスケジュール変更の影響を受けやすくなります。

人手不足・体力的な限界

キッチンカー運営は想像以上に体力勝負です。仕入れ、仕込み、運転、接客、後片付けまでをほぼ一人でこなすケースも多く、長期的に続けるのが難しいと感じる人も少なくありません。特に中高年の事業者にとっては、健康面や生活面での負担が重くなりがちです。

廃業を決断する前に考えるべきこと

廃業は単なる撤退ではなく、次のステージに進むための重要な決断です。感情的な判断ではなく、数字や事実をもとに冷静に状況を分析する必要があります。

赤字の構造を見直す

まずは赤字の原因が構造的なものか、一時的なものかを見極めましょう。例えば、仕入れルートの見直しや人件費の最適化で改善が可能な場合もあります。経費の見直しと収支シミュレーションを行い、継続に可能性があるかを客観的に判断します。

出店戦略の再構築は可能か

売上が伸び悩む要因として、出店戦略のミスマッチが考えられます。商業施設での長期契約やシェアキッチンとの併用など、新たな出店スタイルを模索することで、売上改善の余地があるかもしれません。撤退を考える前に、現状の出店戦略に改善余地があるかを検討しましょう。

他業態への転用という選択肢

キッチンカー車両を使って、飲料やスイーツの専門店、物販や移動販売などへ業態を転換する道もあります。必ずしも「飲食」である必要はありません。自治体の補助事業と組み合わせることで、地域貢献型の移動販売車として再スタートする例も見られます。

廃業時に必要な手続き一覧

廃業を正式に行うには、所定の行政手続きや契約の精算が必要です。これらは遅延するとトラブルにつながるため、計画的に進めることが重要です。

営業許可の返納と保健所への届出

キッチンカーで飲食業を行っていた場合、営業許可証を管轄の保健所へ返納する必要があります。廃業日が決まったら、なるべく早めに返納手続きを行いましょう。併せて、食品衛生責任者の登録抹消も行う必要があります。

開業届・青色申告の取り下げ手続き

個人事業主の場合は、税務署に「個人事業の廃業届出書」と「青色申告の取りやめ届出書」を提出します。提出期限は廃業日から1か月以内が原則です。期限を過ぎると青色申告控除の扱いに影響が出る可能性があります。

車両の売却・リース契約の精算

自前で車両を所有している場合は、中古車買取業者やキッチンカー専門業者に売却が可能です。一方、リース契約をしていた場合は、中途解約時の違約金や残金精算が発生します。契約内容を事前に確認し、精算額や必要な書類を整理しておきましょう。

在庫・備品の処分と事業用口座の解約

食材や消耗品の在庫が残っている場合は、廃棄か譲渡を検討します。厨房機器や調理器具は中古市場での売却も可能です。また、屋号で開設していた銀行口座やクレジット決済用アカウントの解約も忘れずに行います。

廃業にかかる費用と時間

廃業には一定の費用と時間がかかります。思わぬ支出を抑えるためにも、あらかじめおおよその目安を把握しておきましょう。

廃業までにかかる平均費用

車両の精算費用、在庫の処分費、営業許可や口座の解約関連費用を含め、10万円〜30万円程度が目安です。赤字での撤退となる場合、資金繰りに注意する必要があります。

売却・処分による資金回収の方法

車両や備品を売却することで、ある程度の資金を回収できる可能性があります。特に、状態の良い車両や厨房機器は需要があります。キッチンカー専門の中古業者やマッチングサイトを活用すると、スムーズに買い手を見つけられます。

融資返済・リース契約の清算ポイント

日本政策金融公庫や金融機関から融資を受けていた場合、廃業後も返済義務は残ります。返済計画を再設定する、もしくは一括返済を検討する必要があります。リース契約がある場合も、残債の取り扱いや名義変更について契約会社と相談する必要があります。

まとめ

キッチンカーの廃業は、大きな決断を伴います。しかし、経営判断として早期に撤退を決めることで、次のチャンスへの準備を進めることができます。

廃業の判断や手続き、再起の道筋に不安がある方は、キッチンカー事業に精通した専門家に相談してみてください。FoodSHIFTでは、キッチンカーの撤退を考えている方に、適切なコンサルティングと再起するためのプランをご提示できます。廃業を決断する前に、ぜひ一度ご相談くださいませ。

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